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某所連載中の二次小説に対する、腐女子な愛を叫ぶ場所
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だらだらっと徒然なるままに。落ちがつかないんですが、その辺はスルー推奨です。
むしろもっとアレコレ書き込みたかった……。収拾付かないけど。とほん。
ヴァレリー姐さんと、兵站部にいたベテラン女子職員妄想。
第155話の前辺り~かな。



狭い部屋の中、緊張した空気が漂う。
普段にはありえない人数に、快適に保たれているはずの室温すら、数度上昇しているようだった。
誰かが小さく息を継いだのを機に、私は覚悟を決めて口を開いた。
「それでは、報告を……アインス」
「はい!」
押し殺した、それでいて気合を込めた声が返る。
「報告いたします。
十月二十五日、1430(ヒトヨンサンマル)、司令長官室前の廊下で、宇宙艦隊所属ゲリーニ大尉が盗撮用カメラを所持していたのを発見。
速やかに鎮圧後、キスリング准将に引渡し済みです」
「其処まではこちらも確認しています。単独?」
「……同志が複数存在していると思われますが、口を割らないそうです」
「そう。交友関係はコチラでも当たるわ。皆も彼の処遇を聞いてくる相手にはよく注意を。アインスもご苦労様」
「はっ。ありがとうございます」
嬉しそうににこりと微笑んで、小さく礼をする。
まるで子リスのように可愛らしい娘だ。コレでサブミッションの達人だなどと、普通の男は思わないだろう。だからこそ、技を鍛える必要性があったのだとはこの娘の弁だが。
「では次の報告……」
「…………何やってるの、貴女達」
入り口から掛けられた呆れたような声に、私達は振り向いた。
「何って……給湯室定例会よ。別名甘党閣下を守り隊幹部ミーティング?」
何を今更言うのだろう。まさか知らぬはずもあるまいに。
だが、しっかり答えてあげた私に、閣下の副官であるヴァレリー・リン・フィッツシモンズ―――私の大切な年下の親友は、頭を抱えてよろめいた。


いくつかの報告と連絡を終えた後、給湯室につめていた女の子達は三々五々散っていった。
彼女達の中には司令長官室付きはなく、各艦隊司令官の元で働いている娘もいる。下っ端の雑用扱いをされている彼女達は、何かと口実を作って此処で落ち合うのだ。
「あなたが何かしているなとか、やけに噂話に聡いなと思ってはいたけれど……」
ミルクをゆっくり温めながらヴァレリーが呟く。
「あら、長く勤めてるから噂話につよいのよって言った筈だけど?」
兵站部に彼女が始めて来たときから、私は彼女の味方だ。
同盟出身の亡命者。
そんな立場に同情したとは言わない。
ただ、この男だらけの軍という組織の中で、彼女は前を向いて真っ直ぐに顔を上げていた。
性的な意味ではなく男が男に惚れる、それと同じように私はこの女性に惚れたのだろう。
全てを失って、それでも靭くしなやかに立ち続ける有り様は、酷く鮮やかだった。
翻って、私など新婚だった夫を宇宙のどこかで殺されて、それでも自分が食べる為に軍という組織に嫌々ながらも所属し続けて。何処かひねた気分にならなかったとは言わない。
もうずっと前に兵站部に未だ若い……子供と見まごう少尉が任官した時だって、狂乱する女子達の尻を叩いて仕事をさせたのも、所詮は自分の仕事が乱されるのが嫌だったからだ。
他の娘達が結婚や出産で辞めていく中、居残り続けた私はすっかりベテランのおばさんだ。兵站部の中では陰の局長といわれるまでになった。少女だった頃には考えもしなかったことだ。
しかもケーキの上手い坊やが、上層部に睨まれて辺境に飛ばされたはずの閣下が、少将になって帰ってくるなんて誰が思っただろう。しかもこんな女性を隣に従えて。
彼女の姿を見て、コレでは駄目だ、と思った。
私は私なりに、人生を楽しんで全力で生きないと、と。どれだけ恵まれているのか痛感した所為もある。
大して突出した能力もなく、ただ年数が長いから慣れているというだけの私のとりえは、顔の広さだ。兵站部にいたおかげで、各部門の女子職員とはお使いやらなんやらで顔を合わせるし、慣れない新人のミスのカバーや教育にも顔を突っ込んでいる。
だから、それを使って、私は私のできる事で彼女の力になる。
私の目を醒まさせてくれたささやかなお礼だ。
「あちこちにツテがあるんだろうな、とは思ってたわよ。でもさっきの報告会って一体……」
ミルクにココアをゆっくり溶かしながらヴァレリーは首をかしげた。
閣下のココア係は副官だけの仕事だ。
私達が淹れても彼女のように美味しくは作れない。悔しいが、コレだけは彼女の独壇場だ。最近来た変な貴族のお嬢様の副官モドキたちにも手を出させない。淹れようとするのを私達が仕事を振って全力で阻止している。
仕事しろっつーのよ、あのお客様気分のお嬢たちめ。一人はお嬢と言うにはイマイチ歳がいってるけど。
私は来客用のカップを磨きながら肩をすくめた。む、茶渋がある……副司令長官の所で来客用に使うか? どうせめったに出番もないだろうし。
「あんなの電子媒体に残すわけにはいかないでしょ?だから全て口頭連絡。後は各部で連絡会を開くの。彼女達はその連絡員よ」
「いったい何処の諜報機関よ」
「何処のって……お茶汲み係?私たちは何処にでもいるぞーってヤツ。ちょっと気分を出す為にああやって遊んではいるけどね」
「害虫じゃないんだから。でもそっか……気を遣わせてごめんなさい」
うなだれた彼女の頭をぱしりと叩く。中佐様に本来手を上げるなんて出来ない階級だけど、此処は許してもらおう。
「何言ってるの。私たちは好きで閣下と貴女の力になるって決めてるのよ。謝られる謂れは無いわ」
「…………うん。貴女がいてくれてすごく心強い。ありがとうね」
はにかみながらの笑顔はとても可愛らしい。
コレがあのむっつりスケベなリューネブルクのものかと思うと腹立たしい。本人曰く、未だそんな関係じゃない、だそうなのだが何時まで白を切るつもりなのか。
ゼーアドラーで二人でいる姿が何回目撃されてると思っているのだろう。
「あ、ゼーアドラーといえば……」
不意に連想した店から、気になっていたことを思い出した。
「何?」
ココアを慎重にカップに移しながらヴァレリーが問い掛ける。
「金髪坊やのところの分遣隊司令官がちょっと、ね…………」
無理に連れて行かれて酌婦まがいのことをさせられた女の子からの情報だ。
小さな声でヴァレリーに耳打ちする。
事態を理解したとたん、眉根が寄って酷く難しい顔をしている。
「…………上官の能力批判が許されるほど、帝国の軍紀というのは緩かったかしら?」
「まさか。でもまぁ噂話も悪口も、おおっぴらでなければ取り締まりは出来ないわね。特に噂の根拠が実際の戦績と、閣下がシミュレーションをしていないという事実にあるもの。解釈は人それぞれともいえるし」
イケナイ悪口ほど、人は面白おかしく話すものだ。針の穴程の小さな悪意が、どんな事態を引き起こすか考えもせずに口の端に乗せるだろう。
まして彼らは副司令長官の側だ。軍内部の主流派とはいえない。
現体制への不満は当然あるだろう。上官の人柄はともかく、確かに強いのだからもっと優遇されるべきと思っているに違いない。
今は些細な不満でも、いつかそれが大きく育ち芽吹くかは判らない。今の帝国は非常に微妙な時期を迎えている。何が起爆剤になるか、私程度の女子職員では判断しきれない。
「ゼーアドラーで話していたのは数日前だけど、今日その噂は他の部署の女の子からも聞いたのよ……一応気をつけて」
真剣な顔でヴァレリーが頷く。
まったく厄介な副司令長官だ。幾ら顔が良くてもあれではときめきようがない、というのが大多数の意見だ。
「こっちでも確認してみるわ、ありがとう」
「如何いたしまして。お礼は今度の休みに買い物に付き合ってくれるのでいいわよ?」
「……私、何回あなたの買い物に付き合えば良いのかしら」
ヴァレリーは超多忙な閣下の副官だ。幾ら数人でこなしているとは言え、やはり中心は彼女だ。必然、休みなど有って無きが如しとなる。困ったように笑う彼女の肩を軽く叩く。
「そうねえ、カレコレ18回くらいは溜まってると思うけど。ま、そのうち落ち着いたら纏めて返してもらうからいいわよ」
もっとも、落ち着くのなんて同盟との戦争が終わるか、閣下かヴァレリーが亡くなるまでは来ないだろうけれど。「いつか」の約束を重ねるのは、夢を重ねるみたいでちょっと楽しいのだ。人生の張り合いだ。
だから、その時が来たら私の夢をアレコレ彼女にぶつけてやれると思うと楽しみですらある。

いつか彼女に言ってみたいものだ―――そう、例えばハイネセンの案内をお願いとか、ね。

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