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某所連載中の二次小説に対する、腐女子な愛を叫ぶ場所
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第176話あたりで、ヴァレリーとレーナルト先生w
おバカな妄想は楽しいです。
イメージ崩れちゃった方にはごめんなさい。





リヒテンラーデ国務尚書が閣下の枕元に座られたのを確認して、病室のドアをそっと閉める。
慣れてきたとは言え、やはり帝国の重鎮と相対すると緊張せずには居られない。たとえ、本当に閣下を案じる色を湛えていても、そんな感情など殺せる人でもあるのだ。
よく閣下はあの国務尚書に皮肉交じりの軽口を返せるものだ。
最初は何て怖い物知らずなのかとハラハラしたけれど、どうやらそれを相手も喜んでるみたいなんだから、本当に男同士というのはよく判らない。
いや、あれはヤンチャな出来のいい孫を見守るお爺ちゃんと言うべきなのか。
こんな上層部が居る帝国と、同盟と、どちらがマシなのかしら。
どちらにしても、二人の会談に私が立ち入る事は許されない。

溜まっている事務作業の前にお茶でも飲んで一息つこうか、と廊下を歩き出したとき、スタッフ詰め所からひょっこりとレーナルト先生が顔を出した。
「フィッツシモンズ中佐、よければコチラで休憩されませんか?」
とっておきの紅茶を入れますよ?とにっこり微笑む。
もちろん、その誘いに乗らない手は無い。コチラもつられて笑顔になる。
「先生のお仕事の邪魔にならないなら喜んで」
閣下が負傷してから今まで、ほぼ此処につめていた私を何くれとなく気遣ってくれたのがレーナルト先生だ。
先生自身も閣下の容態が安定したとわかるまで、不眠不休で此処に居てくれた。そして、不安に涙を流す私の傍にずっとついていてくれたのも。

ニコニコ微笑む可愛らしい姿からは想像もつかないが、看護師さんたちからの噂によると、結構な凄腕なのだそうだ。
階級と地位こそ高くは無いが、その経験と技術はこの軍病院でもぴか一なのだと看護師は誇らしげに語った。
……同盟では、女性も働くのは当たり前の事だった。良くも悪くも男女平等、という考えが基にある。
だが、帝国での女性というのは家庭を守るべきモノであって、仕事を生きがいにするとか、家庭を持たないというのは反社会的な行動としてあまり歓迎されないらしい。
そんな中で、堂々と男と渡り合って仕事をするレーナルト先生はきっと苦労が多い。それでも、ともに治療に当たるスタッフに当たる事もなければ、むしろ不安や不調は無いかと常に気に掛けている。しかも本人はとても気さくで親しみやすいのだ。
私もこの数日ですっかりレーナルト先生が好きになっている。

目の前にあるエレベーターホールで警護をしている憲兵達に軽く会釈をして、何度かお邪魔した事のある詰め所に足を踏み入れる。
そもそもこのフロアは特別室だけが並んでいるフロアなのだそうだ。
だから廊下も絨毯が敷かれているし、病室の内装も重厚で落ち着くデザインが為されている。
だが、一歩病院スタッフの領域に足を踏み入れれば、シンプルで機能的な機器が並び、無駄な遊びは無い。無駄に煌びやかに感じる帝国風とは違い、何処か同盟にも通じる懐かしい雰囲気だ。
どんな急変にも対応できるように、と各個室に居る患者のバイタルモニターや薬品棚、検査機器も揃っている。
ただ、今このフロアは閣下一人しか入院していないので、スタッフもほとんど居らず、部屋は閑散としている。
きけば、閣下が運ばれる前に警備上の問題から入院していた患者は全員追い出されたのだとか。
どうやら本当に病気だったものは居らず、ただ艦に乗って戦場に出るのが嫌だ、と仮病を使っていたらしい。何ともバカらしい話だ。
ただ、そうやって少しでも収入を増やさないと、病院の経営はなかなか回らないらしい。軍病院だから国から補助が出るとはいえ、それでも厳しいことには変わりはないのだそうだ。
必要悪よね、とレーナルト先生は呟いていた。そもそも軍人などという存在そのものが、必要悪なんだけど、と。
その時は少し疲れたように見えたが、クルクルと紅茶を入れるために立ち働く今の先生からはそんな陰りは感じない。強いひと、なのだ。
あまり人がいないとは言え、本来の仕事の邪魔になってはいけないと隅っこの机に腰を下ろす。
「昨夜は少しは眠れた?」
紅茶ポットに湯を注ぎながら、レーナルト先生が気遣わしげに聞いてくる。
「おかげさまでしっかり……とは言えないけど。でも十分に休んだから、仕事に支障はないわ」
目が覚めたと各所に連絡が飛んだとたん、容態を気遣う問い合わせが殺到した。厳選して連絡を閣下に回したとはいえ、それでもまだ重態の閣下に無理をさせてしまった事は反省している。
そして、閣下に直接負担をかけるわけには行かないと思った人々はレーナルト先生を呼び出したのだ。
別働隊のシュムーデ提督たちは何度も念押しをして容態を確認したし、エーレンベルク軍務尚書やリヒテンラーデ国務尚書は、運び込まれてからずっと朝昼晩と容態の確認をしてきたらしい。「一生分のお偉いさんの顔を見たわ」とレーナルト先生は笑っていたが、ごめん、きっとそれまだ続くわよね……きっとその後ろに皇帝陛下がいるだろうし。
でもそれは伝えないでおく。知らないほうがきっとイイ事もあると思うし。
「レーナルト先生こそ、もう救急の方に戻るんじゃなかったの?」
本来は救急外来が専門の先生が、そのまま閣下の担当として今まで此処に付いていてくれた。シフトの関係上、本来はありえないことらしい。
閣下が目が覚めたことで、ようやく本来の外科に引き継ぐ、と言う話だったのだけれど。
「ああ……それね、先送りされたわ」
顔を顰めて、お茶請けのクッキーを差し出してくる。
程よい時間で抽出された紅茶も隣に置かれると、とたんに空腹を思い出した。
爽やかな香りのする紅茶は同盟で飲んだことはない。これは帝国産のものなのだろう。悪くはない。シロン産にも勝るとも劣らないのではないだろうか。
礼を言って口に運びながら、改めて疑問を問いかける。
「先送りって?私としては、レーナルト先生が居てくれるのは心強いけど」
「ありがと。ほら、閣下が熱を出しちゃったじゃない?まだ急変するかもって外科の方が怖気づいちゃってねぇ。きっと担当変更は退院間際ね」
それで閣下を担当して治療したという名誉だけ手に入れようというのだろう。
ふふん、と鼻を鳴らしながらクッキーをかじる様子は子リスみたいで可愛らしい。
可愛らしいが、そうやって実績を掠め取られても、さほど気にしていない様子なのにこちらの気がとがめる。
失敗を恐れて逃げ腰の医者達の中で、レーナルト先生だけが……レーナルト先生を大好きだというスタッフ達が必死に閣下を助けてくれたのに。
「それはご愁傷様というか、無理をさせた私の所為でもあるのかしら。このままで先生の負担は大丈夫?他の看護師さんたちとかは休めてるの?」
「救急のシフトがおかげさまで滅茶苦茶よ。……まあ、閣下が入院しているおかげで今の病院は厳戒態勢とも言える警備だし、外来は基本的に予約のみだし、救急搬送もよほどのことがない限りウチじゃなくて民間の方に流してるから問題はないけどね」
そろそろ若い子達にも少しは経験つんでもらわないとだめだしね、と笑う。
……なるほど。ならば閣下が退院するまでレーナルト先生に担当してもらうこともできるだろうか。病院長に掛け合えば何とかなるだろう。私などからより、軍務尚書から伝えてもらえば確実なのだが。
これだけ手を尽くしてくれた先生に、何の御礼もできないのはいささか業腹だ。
「本当にありがとう。面倒ごとばっかりなのに……」
「それが私の仕事ですもの。フィッツシモンズ中佐だって気に入らなくても仕事を投げ出したりはしないでしょう?」
悪戯っぽく笑う先生はなかなかにカッコいい。ちょっと苦笑してしまう。
「ヴァレリーで良いですよ、先生」
「じゃあ私もクラーラでお願い。どうやらお偉いさん関係の愚痴を言えるのは機密の点からいってもヴァレリーくらいみたいだしねぇ」
ささやかなお友達願いは受理されたようだ。
小さくティーカップを合わせて乾杯の真似事をする。
「……ところで、ヴァレリー。名前を呼べるようになったら聞きたいことがあったんだけど」
「なに?」
「本命って誰なの? 閣下は違うだろうけど、リューネブルク中将?シューマッハ准将?それとも他の艦隊司令官の誰か?」
「ぶふッ!」
青い瞳が好奇心にきらきら輝いている。
……どうやら、どんなにカッコ良い仕事大好きな女医さんも、恋バナの誘惑には負けるらしい。
閣下の見舞いを口実に、機密をアレコレ聞き出そうとする相手の対応はなれているけれど、さてこの新たな強敵との戦いにはまだ勝機は見えそうにない………。


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腐女子よりもすでに貴腐人と呼ばれる程度には、妄想世界に棲息中。
いつもかなり隅っこの茨の中を1人で爆走します。
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